おしゃべりコンサート 演奏家コメント【都築紘子さん】
こんにちは、アポロ音楽院です。
10/12(土)「おしゃべりコンサートvol.1世界を巡る音楽の旅」に出演される演奏家の方のコメントをシリーズでお届けいたします!
今回は、ソプラノの都築紘子さんです。
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ソプラノの都築紘子です。私が演奏する曲目を解説させていただきます。
舞台は紀元前のエジプトです。
■ヘンデル作曲 オペラ『ジュリオ・チェーザレ』より
クレオパトラのアリア
“この胸に息のある限り”
“嵐の海で難破した小舟は”
オペラ『ジュリオ・チェーザレ』は、ヘンデルのオペラ代表作として知られ、今日でも度々上演される作品です。タイトルの「ジュリオ・チェーザレ」は、「(ガイウス)・ユリウス・カエサル」としてもおなじみの「ジュリアス・シーザー」のイタリア語読みです。
“この胸に息のある限り”は、王位をめぐって敵対している弟トロメーオに捕えられ、生きる望みをなくしたクレオパトラが、己の過酷な運命を嘆く絶望のアリアです。
一方で“嵐の海で難破した小舟は”は、一度は死を覚悟したクレオパトラのもとへ、チェーザレが助けに来る場面で歌われる喜びのアリアです。
2つのアリアは、バロック・オペラにおけるアリアの基本形である「ダ・カーポ・アリア」で書かれています。「A-BーA´」の三部形式から成り、A´の部分ではAの旋律をそのまま繰り返すのではなく、技巧的に装飾して歌います。バロック時代の歌手は即興で装飾歌唱を披露し、その妙技で以て聴衆の度肝をぬいたと伝えられています。
「絶世の美女」、「世界三大美人」と後世に伝えられる圧倒的な魅力で男性を翻弄していたクレオパトラですが、これらの作品は彼女の外見の美しさだけではなく、男性中心の戦いの世を生き抜いた知性と度胸、力強さを感じさせるものとなっています。
美しいヘンデルのメロディに宿る、女王の絶望と喜びをどうぞご堪能ください。
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